アジアのトレイルランニングがいよいよ本格的な秋の「本番シーズン」に突入。香港では152kmの過酷な山岳決戦「ウルトラ・フィッシュ&シープ」やHK50が開幕し、台湾では士林50Kに日本・香港のエリートが続々参戦を表明。さらにATMシーズン11では松田裕之選手が年間王者に輝くなど、国境を越えたアジア圏のエコシステムが熱を帯びています。今週のアジアトレイル界の動きを総まとめでお届けします。
こんにちは、GO ASIA TRAIL です。
長く厳しい猛暑の夏がようやく落ち着き、東アジア〜東南アジアの山岳シーンはランナーたちが待ち望んだ秋の本格シーズンを迎えました。
香港では名物レースが毎週のように号砲を鳴らし、台湾ではスカイランニングシリーズの拡大とともに日本・香港からの遠征組が集結。さらに東南アジアを転戦する「アジア・トレイル・マスター(ATM)」は新シーズンへとバトンを繋ぎました。
今週は、香港・台湾のホットな開幕戦リポートから、エリート選手のメンタル克服記、そしてアジアを舞台に躍動する日本人ランナーの最新動向まで、ギュッと凝縮してお届けします。
🧭 今週の深掘りトピックス(Feature Picks)
1. 「DNF(途中棄権)からのメンタル再構築」――香港トップ女子・甄智貽(アンジー)の告白
ウルトラトレイルを走る者なら、誰もが一度は直面する「DNF(Did Not Finish)」の悪夢。香港の有力女性ランナーである甄智貽(アンジー)選手が、レースでの途中棄権で失いかけた自信をどう取り戻したかを語ったインタビューが、現地コミュニティで大きな反響を呼んでいます。
彼女はリタイア後、フィジカルの疲労以上に「自分はもう走れないのではないか」という自己不信に苛まれたといいます。しかし、専門のメンタルコーチとともに自らの心理的弱点――「他者からの評価への過度な囚われ」「トラブル発生時の完璧主義」――を客観的に見つめ直すトレーニングを実施。レースを「結果を証明する場」ではなく「自分の弱点を探求し、実験するプロセス」へと再定義することで、再びスタートラインに立つ勇気を取り戻しました。
過酷な自然と対峙するウルトラランニングにおいて、真の強さとはフィジカル以上に「挫折をいかに引き受け、解釈し直すか」にあることを思い出させてくれる好記事です。
2. 台湾スカイランニング(STS)が急拡大――猫空ナイト65Kや石門ダムが公式認定へ
台湾の山岳レース熱が一段と加速しています。中華民国トレイルランニング協会(TWTTRA)は、台湾スカイランニングシリーズ(STS)の年間ポイント対象レースに、台北近郊の難関「猫空ナイトトレイル65K(スカイウルトラ)」および12月の「石門ダム50K/26K」を正式追加認定しました。
台湾のトレイルは、台北市内からMRTやバスで30分〜1時間でアプローチできる圧倒的なアクセスの良さと、亜熱帯特有の急峻でテクニカルな稜線美が魅力。今回のシリーズ拡充により、地元エリートだけでなくアジア近隣国からの遠征ランナーにとってもポイント獲得や実力試しの絶好のターゲットとなります。
🌏 地域別ダイジェスト(Regional Roundup)
🇭🇰 香港(Hong Kong):秋のメガトレイル連戦が開幕
香港では気温の低下とともに、長距離山岳レースが本格稼働しています。
ウルトラ・フィッシュ&シープ 2026(Ultra Fish N Sheep)
香港北部の粉嶺(ファンリング)を舞台とするATMシーズン12開幕戦。ショートの12kmから、最長152km・累積標高差の大きい「グランドスラム」部門まで5カテゴリーで開催。テクニカルな階段と稜線がランナーを苦しめました。
🔗 RunRun France 大会情報2026 CBRE 香港50 開幕戦(HK50)
アクション・アジアが主催する人気シリーズ「HK50」が開幕。ヴィクトリア・ピークから香港島の背骨を駆け抜ける50km・24km・6kmで、香港特有の「大都会の高層ビル群を見下ろす大自然」を満喫する高速トレイルバトルが繰り広げられました。
🔗 Action Asia Eventsランタウ30(ソロ&リレー)2026
ランタウ島南部の貝澳(プイオー)ビーチを発着点とし、標高差1,650mを越える32kmの山岳ルート。チームで繋ぐリレー部門も盛り上がりを見せています。
🔗 Wayme Events
🇹🇼 台湾(Taiwan):国際エリートの激突と日本レースへの熱視線
スカイハンター士林トレイル50K(11月8日開催)
台北・士林エリアの山稜を巡る注目大会に、日本から吉野大和選手・枝元香菜子選手ら有力ランナーが参戦を決定。香港のトップランナー陣も集結し、秋の台湾トレイルにおける国際前哨戦の様相を呈しています。
🔗 TWTTRA 大会告知台湾ランナー向け「第80回 富士登山競走」攻略セミナー
日本屈指の過酷なバーティカルレース「富士登山競走」への挑戦を目指す台湾ランナーが増加中。TWTTRAが台北およびオンラインで装備・補給・ペース配分を徹底解説するセミナーを開催し、日台のランニング交流の深まりを示しています。
🌏 東南アジア & ATM(Asia Trail Master):新旧シーズンの交差点
松田裕之選手がATMシーズン11「年間総合ポイント王」に戴冠!
アジア各国の山岳ウルトラを転戦した松田裕之選手が、抜群の安定感と強さでシーズン11の年間総合ランキング1位を獲得。日本勢の存在感をアジアの舞台で見せつけました。
🔗 ATM Points RankingベトナムATMファイナル:苅尾千里選手が女子4位、北村央選手が男子4/5位
過酷な泥濘と熱帯の山岳で争われたシーズン11グランドファイナル。女子日本代表の苅尾千里選手が表彰台目前の4位に入賞。男子では序盤リード集団を積極的に引っ張った北村央選手が4/5位と健闘しました。
🔗 ATM Final Results新シーズン12が東南アジアで開幕
10月10日のルアンパバーン・ウルトラ(ラオス)を皮切りに、タイのツレートレイル、マレーシアのココルウルトラへと舞台は続いていきます。
🔗 ATM Season 12 Calendar
🌐 グローバル注目トピック(Global & Culture)
ザック・ミラー特別寄稿「The Soul of Trail Running」
米国の闘将ザック・ミラーがiRunFarに寄せたエッセイが話題です。「トレイルランニングの真髄とは、タイムや順位ではなく、山とコミュニティが繋ぐ人間の温もりにある」――商業化が進む世界シーンにおいて、原点を問い直すメッセージが響きます。
🔗 iRunFar 記事全文
📅 直近の注目アジアレース日程(Upcoming Calendar)
✍️ 編集後記(Editor’s Note)
アジアのトレイルレースを見ていると、欧米のビッグレース(UTMBやWestern States)を目指す単線的なルートだけでなく、「アジア圏の中で切磋琢磨し、年間王者を争う」独自のサーキットやカルチャーが完全に定着した ことを実感します。
特に香港や台湾は、日本からのフライトも短く、週末を活用した遠征先として抜群の環境が整っています。今秋、皆さんはどの山を走る予定ですか?
もし「このレースに出てみたい」「この選手に注目している」などがあれば、ぜひコメントや返信でお寄せください!
次号の配信もお楽しみに。Keep on Trailing! 🏔️👟


